ホテルへ帰るバンを待っていた楽屋を訪れたのは、ペニーワイズのベーシスト、ランディ・ブラッドビューリー。昔、マイクのベースを聴きながらチョップの練習をしたそうで、リスペクトするベース・マスターと2ショット。

この場所ではマイクと落ち着いて話をする時間があったので、日本に初めて来て何が一番印象的だったかを尋ねると、「空港やさまざまな場所で、人々が掃除とか小さなことでもきちんと自分の仕事を持ち、一生懸命それに従事している姿」ということだった。下の写真でピンクのトレーナーを着ている女性がマーガレット。

ホテルに着くとファンが待ち構えていて、サイン・セッション。

この後最上階のバーで打ち上げのようなものに同席させてもらえた。「打ち上げ」と言っても少量のビールと(せっかく日本に来たからと)サケを少々、ウェインのようにアルコールは一切飲まない人もいるし、食べ物もほとんど口にしない極めて質素な会食で、長期間のツアーで体調を維持するにはやはりこのくらい自己管理しなくてはいけないのだろうと思った。日本の後は皆ひとまずアメリカやオーストラリア(デニツ)に戻り、1週間後に今度はヨーロッパに出発する。旅の安全とツアーの成功を祈り、最後はホテルのロビーで別れた。

終わってみれば夢のような2日間で、別れた後になって、あれも尋ねておけばよかった、ああいう写真も撮っておけばよかったと後悔するのは毎度のことだ。そういえば Black To Comm をやらなかったことに気づいた。またウェインはステージ上でもっと自己主張していいのではないかとも感じた。もちろん彼のギターは DKT/MC5というアクトのハイライトには違いないのだけれど、あと1、2曲ウェインにリード・ボーカルを歌って欲しかったと思う。

それでも今回の公演が心に残るすばらしい内容だったことに変わりはない。東京でも大阪でも、ウェインは亡きロブ・タイナーとフレッド・スミスに敬意を表し、「奴らは今、俺達と共にいる」と変わらぬ友情を誓った。2人が書いた歌を、残りのメンバーがその遺志を継いで歌い続け、それを同じ場所で共有できたことは感動的な体験だった。

同じプロト・パンクと言われながら、 イギー・ポップというアイコンが一貫して活動を続けているストゥージズや、ジョニー・サンダースという圧倒的ロック・ヒーローの遺産であるドールズなどと異なり、 MC5は長い間日陰モノの感があったけれど、こうして生き残ったメンバーが来日してくれたことでこのバンドが再認識され、彼らがロック史に残したスピリットやその音楽性が日本の若いバンドにも受け継がれていくことを願ってやまない。

2004年 8月 DKT/MC5 来日ツアー・レポート 完


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