ヴァニアンが去って7曲目の "Poison" をウェインが、8曲目の "American Ruse" をニッケが歌った。バンドはこのショウのかなり前にロンドンに到着していたそうで、確かにどの曲も非常によくリハーサルされている。9曲目がアルバム "Back in the U.S.A." 収録のバラード、"Let Me Try" で、ここで今まで私のそばで踊っていた女性がステージに上がったのでちょっと驚いた。 ケイト・オブライエンという女性ソウル・シンガーで、日本に帰ってウェブ上を調べてみたけれど全然出てこなかったので、たぶん無名の新進歌手なのだろう。でも特に優れた歌手とも思えず、特にMC5のファンという感じでもなく、どうして今回出演する事になったのか、クレイマー・レポートの説明も今一つ釈然とせず未だに謎。そして10曲目が "Rama Lama Fa Fa Fa" で、これはウェインが歌ったのだが、オーディエンスを巧みに3つに分けてコーラスさせたのは流石のワザで、みんなとっても楽しそうに声を張り上げて歌ったのだった。そして11曲目で大将の登場。
モーターヘッドのレミー。いいとこ取ったなという感じの2曲、 "Sister Anne" と "Back in the U.S.A." を歌う。何回も来日しているけれど私がライブでレミーを見るのはこれも初めてで、サスガの貫禄、とってもカッコよかった。このあたりで周りを見回すと、ナンダ、結構みんな写真を取っている。自分もこわごわカメラを構えてみたら目の前の黒服氏は全く無視。こんなことならヴァニアンも撮影すればよかった!と、この後は思う存分シャッターを切った。

レミーの登場で、会場が一層盛り上がる。ワクワクして楽しくてしょうがない。本当にこれはMC5のお祭りなのだ。

この翌日ラリー・ウォリス氏に面会した際このギグの話題になり、「レミーが出てきましたよ。」と話すと、「あいつ相変わらず白いブーツ履いてた?」と言ったので笑えた。カナダをツアー中にホークウィンドをクビになったレミーがラリー・ウォリスを誘って結成されたのがモーターヘッドである。

"Back in the U.S.A." が終わってレミーが堂々と退場したところでステージは華やかに終了。バンドも引き上げた。

当然アンコールがあり、"Rambling Rose" はここでウェインが歌った。ただし昔のフォルセット・ボイスではなく、普通の声でした。そしてアルバム "Kick out the Jams" の並びの通りここで KOTJ に入るのだが、ゲストがもう1人登場。
キック・アウト・ザ・ジャムズをトリで歌うという最高の栄誉は、再生ドアーズのボーカル、元ザ・カルトのボーカリスト、イアン・アストビューリーに与えられた。ジム・モリソンにとてもよく似(せ)ているのに驚く。
アストビューリーと共にバンドも引っ込んだがアンコールはまだ続く。でも全然出てこなかったので帰りかける人が出てきた時に、再びバンドが登場。"Black to Comm" のあの最初のコードをウェインが弾き始め、私達はMC3と宇宙をトリップしたのだ。オーディエンスの物凄い歓声に送られてバンドは去り、ギグは終わった。サウンド自体を考えれば、フレッド・スミスのギターにニッケが及ぶはずもなく、ロブ・タイナーのボーカルは誰にも凌駕されない。でも、これは昔のMC5を再現する場ではなく、MC5の音楽を、敬意と愛情をもってみんなで楽しむ「MC5フェスティバル」だったのだ。その意味で、参加ミュージシャン全員がすばらしいパフォーマンスを繰り広げ、プレスだろうがリーバイスだろうがファンだろうが、オーディエンスを100パーセント楽しませてくれたすばらしいショウだった。

Back to top / page 4 of 4 / page 1 of 4 / page 2 of 4