The Live Bootleg Anthology
(2004)
Castle Music
CMETD1040
Purity Accuraryとほぼ時を同じくして、紛らわしい仕様でリリースされたこの3枚組。ピュリティをリリースしたイージー・アクションの担当者も相当憤慨しているようなことをEメイルに書いていた。同じ「ボックス」ということで迷った人も多いと思う。内容は、MC5のおなじみ2大ライブ音源+オマケというもの。特に目新しい写真はないし、音質も Purity より多少劣るように思う。(トラック・リストは画像をクリック。)
Disc One
Recorded live at Sturgis Armory
27th June 1968

1曲目のRambling Roseを除く全トラックがPurity Accuracy 及びコンピ盤 Starship に収録されている。スターギス録音のランブリングが入っているのは結構珍しく、他では Black to Comm と Greatest Hits Liveに収録されているだけである。一方 PurityとStarship 両盤に入っている3曲、"I Want You", "Starship", "Black to Comm" がここには未収録である。

Disc Two
Recorded live at the Saginaw Civic Center, Michigan
1st January 1970

Teen Age Lust やPutiry のディスク3と全く同じ内容。

Disc Three - Bonus EP
Recorded live at First Unitarian Church, Detroit, Michigan
September 1968

1968年9月7日・8日の両日、ユニタリアン・チャーチで行なわれたイベントで録音された音源は数枚のコンピ盤で知られている。このジャケットには「9月」としか記載されていないが、ここに収録の4トラックは7日の録音で、何と正真正銘「未発表」なのである。7日の音源でこれまで発表されたのは、Power Trip 収録の "I Put a Spell on You" と "Born under a Bad Sign" だけである。ということは大逆転で、未発表トラック含有率から言うと当ボックスの方が Purity より高いのである。Power Trip のプロデュースはジョン・シンクレアであるから、ユニタリアンのテープを所有しているのがシンクレアであることはまず間違いなく、その意味でこのアンソロジーに関して「シンクレア秘蔵テープ」云々の前評判は正しかったということである。こちらのThanks リストにはウェインと並んでシンクレアの名があるが、一方ピュリティの方は、(ライナーを書いたニナ・アントニアの)「インタビューに協力」したことへのThanks であり、「コンサルタント」としてウェインの夫人マーガレットとマイクの夫人アンジェラが記載され、特別に2人への感謝を述べたりしている。イージー・アクションは夫人達をパートナーとし、キャッスルはシンクレアと仕事をしたが、結局、MC5最後とも思える未発表ライブ音源は、バンド解散後数十年を経て彼らと知己になった夫人たちのもとではなく、シンクレア導師の手にあった、ということである。

それにしても、ライナーやパッケージにも「未発表」の記載は全くない。今回レビューをウェブに載せるために、資料を手にあらためて聴いて始めて知った事実である。ライナーはデビッド・ウェールズなる人物の筆によるかなり長いMC5のバイオグラフィーだが、このことの方がよほど重要なのだからちゃんと「未発表4トラック含む!」とか「初公開音源!」とか書けよ!!と言いたい。ここに収録の Black to Comm はブッ飛びます。

Back to top