その後ニューヨークを離れてナッシュビルに移り住み、そこで彼の11枚のソロ・アルバム第1作目となる「ハード・スタッフ」の曲を書いた。このアルバムは1995年にエピタフからリリースされた。
「ロサンジェルスに引っ越してきてエピタフのチーフ、ブレット・ガーウィッツに会った。彼はそれらの曲をすごく気に入ってくれたんだが、エピタフのファンに販売できるサウンドじゃない、と言った。」クレイマーは回想する。「で、俺はエピタフの音楽を聴きまくり、俺がやっていることとエピタフがしていることをどうつなげられるか勉強した。そしてそれほど大きな違いはないことに気づいたんだ。むしろ問題はいいミュージシャンをどうやって集めるかってことだった。」
ウ゛ァンダルスのドラマー、ジョッシュ・フリース、ペニーワイズのベーシスト、ランディ・ブラッドビューリー、そしてメルヴィンスとクロー・ハンマーらのサポートを得て、クレイマーは彼のギターから思う存分力強いリフを叩き出し、ギター・マニアに高く評価されるアルバムを制作した。
「いったんすばらしい共演者を見つけてしまうと後は楽しいだけで、俺はギターの演奏に集中することができた。」クレイマーは語る。「俺はギター・プレイを現状から一歩先に進めることにものすごく興味があるんだ。」
ミュージシャンとして進化したいという願望は、結果的に彼を違ったキャリアへと導いた。2009年にはマーシャル・クレンショーのアルバム「Jaggedland」 で客演したものの、クレイマーの最近の関心はもっぱらテレビと映画音楽の作曲だ。
作曲家としてクレイマーは、映画「Talladega Nights」(邦題:「タラデガ・ナイト」)及び「Step Brothers」(「俺たちステップ・ブラザース」)のサウンドトラックや、ケーブル・テレビ局 HBOのコメディ・シリーズ「Eastbound and Down」の音楽を手がけた他、エンタメ専門テレビ局 E! 製作のエミー賞受賞シリーズ「Split Ends」や、フォックス・スポーツ・ネットワークの「5-4-3-2-1」、「In My Own Words」、「Under the Lights」といった番組のテーマ音楽を担当した。
「映像につける音楽を作曲してる時、それは俺の音楽じゃない。」映像のための創作とアルバム制作の違いについてクレイマーは言う。「映像音楽は監督の音楽だ。俺が伝達しようとしてるのは、番組のストーリーだ。ストーリーに対するウェインの考えじゃない。もっと他人との協力を要する仕事であり、しばしば補助的な役割だ。彼らが彼らのストーリーを語るのを助ける音楽を書くことが俺の仕事なんだ。だから書くのは俺についてのことじゃない。彼らについて、彼らのストーリーについてのことだ。映像につける音楽を書く時、王様なのはストーリーなんだ。」
61歳のクレイマーが次に挑戦しようとしているのはオーケストラの曲を書くことで、その目的のため彼はスクールに通っている。
「人生の大半をロック・バンドでエレキギターを弾いて過ごしてきた俺は、バイオリンが何をやってるのか、フルートは、金管楽器は何をやってるのか、知る機会がなかった。だから学校に通う必要があるし、すごく楽しいぜ。」と、クレイマーは語る。「できることなら死ぬその日まで、何かを学んでいたいんだ。」
ありったけの情熱を傾けて努力することを人生哲学とするクレイマーだ。何を学ぼうと彼は必ずそれをマスターするに違いない。
ウェイン・クレイマーの活動に関しては、彼のホームページを訪れて欲しい。
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