クレイマー・レポート No.4 (2001年9月)
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人をあのような行動に走らせるものは何なのか?自らの命を投げ出すとは。これほど多くの人々の人生に痛みと悲劇をもたらすとは。今日の世界において人々をあのような信じ難い凶行に駆り立てる要因は何なのか?いかに高邁で説得力があろうと、あのような行動を正当化する要因など断じてありはしない。
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しかし、上の問いかけを俺はもう少し掘り下げてみたいと思う。
これまで何が俺の人生を幾度となくつまずかせてきたのか、その根源を探り当てるために、自分が持っている感情の在庫チェックをしてみた。それはある意味で、俺が本当のところ誰なのか、それを探り出す作業に等しい。(自分を誰だと思うか、ではなく自分の実体は誰なのか、ってことだ。)感情の棚卸しリストを作った。怒り、恐れ、性的ダメージ、そういうものをリストアップして、それぞれを4つの項目に分けてみた。最初の項目には、怒りを感じた人やモノ、つまりそれらの感情の対象を記入した。次の項目には、その結果何が起こったかを書いた。(職を失ったとか、刑務所に入れられたとか、そういうことだ。)3番目の項目にはそれによって自分の何が影響を受けたかを記入した。(野心、身の安全、財産なんかだ。)そして4番目、最後の項目は、じゃあ俺はそのプロセスの中でどういう役割を果たしていたのか、ってことを書き込む個所なんだ。
あのような恐ろしい事件がどうして起こったのか、それを理解するカギは、こう自問することだ。「あの中で私はどういう役割を果たしていたか?」さらに端的に言えば、「これら全てにおいて、我々の政府はどういう役割を果たしていたか?」ってことだ。
他のアメリカ国民と同じように俺もテレビの前で事件の成り行きを見守った。偉そうな専門家や政府の役人が出てきて、犯人を見つけ出すとかなんとか、際限もなくしゃべりまくるのを聞いた。そして奴らの誰一人として、俺のこの問いに納得のいく答えを与えてはくれないんだ。
だから、さらに突っ込ませてもらう。そもそも地球の反対側にいる人々が、これほどまで執拗にアメリカ合衆国を憎悪し、あのような信じ難い計画を巧妙に画策し実行に移し、攻撃を開始するなんて、一体全体何がそれほどまでに彼らを駆り立てたのか?
ビン・ラディン、ビン・ラディン、ビン・ラディンとテレビでは飽きもせずしゃべり合っている。奴を創り出したのはアメリカ合衆国政府だ。合衆国政府がビン・ラディンと奴の手下を訓練したんだ。ソビエトにテロを仕掛けるのがすばらしいアイデアだった時代に。アメリカ政府は殺人部隊を訓練して、世界中で何千人という罪もない人々を殺戮してきたんだ。その報いを今少しばかり受けたからって、驚くにはあたらない。
真実はこうだ、もしあるグループの人々が、ある理由によって自分の命を投げ出してもかまわないと考えたら、それを阻止するすべはない。第2時世界大戦で海兵隊が日本の硫黄島を侵攻した時も起こったことだ。2001年9月11日も同じなんだ。
「人は自ら招いたものを得る」って言うじゃないか。なのに今回の事件で一番やるせないのは、死んだのは政府のリーダーじゃなく一般国民だってことだ。勤労者だってことだ。貧しい人々、普通の人々、強大な力を持つリーダーや貪欲な権力者じゃなく、つつましい平和を得るために毎日を過ごしていた人々だ。
問題の内面を見極めようとしないって態度は、俺たちの文化からみておかしくないか?自分の問題を他人のせいにするのがアメリカ的やり方か?誤解しないでもらいたい。この犯罪を行った奴らは裁かれるべきだ。法のもとで、他の全ての殺人者が糾弾されるのと同じやり方で。だが覚えておいて欲しいんだ。この犯罪の首謀者を探し当てて殺してみたところで、同じ事が繰り返されるのを防ぐことはできない。そういう考え方でいけば同じ事件が何度でも繰り返されるだけだ。こういうことが2度と起こらないようにするためには、それを発生させた環境を変えていかなければならない。
他の国で数百、数千という人々が死んでも、ここアメリカじゃたいしたニュースにもならない。そういう傲慢さが憎悪の対象になっても不思議はない。
食物、住居、薬といった生きていくための基本的な物資さえない国が存在しているのに、アメリカの淫らな金持ちどもは富を見せびらかしている。誰かが何らかの反逆を試みて何の不思議がある?俺たちが享受している有り余るモノ、それが憎しみを引き起こすんだ。
歴史から何か学ぶことがあるとすれば、人々を永久に蹂躙し続けることはできないってことだ。彼らはある時必ず怒りに燃えて立ち上がる。
他の国じゃ毎日こういうテロの恐怖と向かい合っている。アメリカだけが無傷でいられるはずがない。この悲劇は人類全てにとっての悲劇なんだ。だが、これを続ける理由はない。あるのか?
今こそ方向転換すべき時か?それともこのままでいくのか?ここから何か学べることがあるのか?死んだ人間は犬死か?国民の上にこの惨劇を引き起こした政府の最高権力者達が、この先何度でも同じ事を繰り返すのを許すのか?
同じ地球上に住む人間なんだ。日々の生活を営み、仕事をし、家族を作り、誰もが健康で幸福でありたいと願う。愛し、愛されるために。
親友のダグ・ラーンがこれを送ってきた。俺が今ワメいたこと全てにも増して、問題と解決方法について雄弁に語っていると思う。
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地球と全人類を、人口100人の村に置き換えてみたら、
こんな構成になる。
アジア人57人
ヨーロッパ人21人
南及び北アメリカ人14人
アフリカ人8人
白人30人
非白人70人
6人の人間が全ての富の59パーセントを保有している。
そしてその6人は全員アメリカ合衆国民である。
80人が劣悪な住居に暮らしている。
70人が文盲である。
30人が栄養失調に苦しんでいる。
1人が大学教育を受けている。
1人がコンピューターを持っている。
この人生を愛し、愛といつくしみをもって、
残り全ての、「村」の住人を抱きしめて欲しい。
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