アーティスト・ワークショップ

マニフェスト
Artist Workshop Manifesto
ジョン・シンクレア
1964年11月1日
By John Sinclair - November 1, 1964

なぜアーティストにコミュニティーが必要なのか?創作の才に恵まれた若いアーティストに最も重要なのは、仲間(アーティストとして同じ高いレベルの自覚を持つ友達)を持つことである。その一員となり、共に語り、活動し、アイデアを出し合い、互いにサポートし合うグループを得ることである。現代社会は恐ろしいほど巧妙にアーティストを互いに(そしてむろん一般の人々からも)孤立させ、本来生き生きした活力あるコミュニティーになり得るグループを分離し、孤独で自己防衛的で情緒不安定な人間の集団に変えてしまった。自分以外の人間と話し活動することを恐れ、(おそらく)3、4人の友人しかいないような人間たちだ。

「アーティストのコミュニティー」というのは、個人的エゴを克服し、サポートや刺激を互いに与え合うことによって実践的方法で助け合うことのできる、高い意識を持つ人々のグループを言う。たった一人で活動するアーティストは(意識的にではないと信じるが)、彼の創作にかけがえのないすばらしい作用を及ぼし得るインスピレーションや影響から自らを隔離してしまっているのだ。孤独なアーティストは彼の作品に耳を傾ける(リロイ・ジョーンズが言う「きみがいかに聞こえるか」を教えてくれる)人間を持たず、彼の作品をさらに厳しく評価する批評やアイデアを提示してくれる者を持たない。彼はつまずき、自らのエゴと作品にとらわれ、客観性を持たず、インスピレーションや総体的評価を得ようとしても、手近にいる世代や目下展示されているのを見ている人々の意見しか得られない。孤独な、あるいはとても不自然な環境だ。自分で自分の作品に没頭しているだけだから、創作の高揚感も得られない。が、彼と同じこと(すなわち「生活の生ゴミの中から」(リロイ)詩(=美)を産み出し、それを他人に伝えようとすること)を試みている他の人間と作品について語り合う時、ヘンリー・ジェイムスが「情熱によって得る知覚」と名付けた意識レベルを達成し、それを維持することができるのである。自分と同じレベルの覚醒と熱意で活動する数少ない人間こそ、こうした対話の相手に最もふさわしい仲間ではないか?

ジョン・シンクレア
1964年11月1日