「メタリックなアルバムを作ろうと思った」(ウェイン)というこのアルバム、ウェイン・クレイマーのソロ第1作ということになっているがその割に彼の存在感は薄く、ポジショニングに迷う1枚。本人もあまり重視していないのか、インタビュー等でもこのアルバムに触れることはほとんどない。ウェインがリードを歌っているのは9の "Who Shot You Dutch?" の短いフレーズだけ。この曲は例のファレンとの共同製作によるミュージカルのサウンド・トラックだが、何ともファンクで、MC5流のヘヴィーでパワフルなメタリック・サウンドを期待して臨むと思いきりハズす。その他は全て、ジョン・コリンズがリード・ボーカルを歌っている。アルバム全体が昔のニュー・ウェーブっぽいアレンジのリズム・ボックス・サウンドで、ミック・ファレンは後年、合成されたドラム・サウンドを実験的に使ってみたくて録音したが、ちょっとやり過ぎた、みたいなことを言っていたし、ウェインもドラム・マシンの無機質な単調さを認めている。
しかしウェインとミックが手掛けただけあり、曲そのものはどれも凄くいい。特に1の"Take Your Clothes Off" は名曲。98年にエピタフからリリースされたライブ・アルバム "LLMF" でもウェインはこれを歌っている。91年キュリオ・レコードから。
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