エピタフからの2作目は前作よりもアクセスしやすいサウンドになった。ブルース・スプリングスティーンを彷佛とさせるような部分もあるけれど、歌詞ははるかに激烈。ウェイン・クレイマーの決して脆弱でない知性が感じられる1枚。
1 Dangerous Madness のバック・ボーカルはテレンス・トレント・ダービー。あるギター・ファクトリーでウェインに偶然出会ったダービーは、MC5を崇拝しウェインに会ってみたいとずっと望んでいた1人だった。バッキング・ボーカルが必要なトラックが1つある、と言うウェインに、ダービーは即座に参加を申し出た。2のBack To Detroit は、かつての面影もなく荒廃し、都市としての活力を失ってしまったデトロイトに捧げるバラード。とにかく悲しい。こんなに悲しい歌を作るのはやめて!というくらい悲しい。MC5ファンにはとりわけ辛く切ない歌。3のWild America はファレンの作詞で、「アメリカ」という言葉を使った歌詞が書きたかったのだそうだ。5のA Dead Man's Vest は、幼い頃蒸発した実の父親との再会を歌ったフリー・ジャズ・ナンバー。数十年を経てついに巡り会った父は、癌の末期で死の床にいた。7はカッコいいブルース。ウェイン・クレイマーのマイ・ベスト5に入れたい。この曲はミック・ファレンもソロ・アルバム Eating Jello With A Heated Fork "('96)や、Human Garbage ('99)に収録している。
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