"Kick Out The Jams" ライナー・ノーツ
Liner Notes by John Sinclair
[Courtesy of the author]

MC5全てを包括する。この音楽を理解するためには、この音楽を包括する全てを受け入れなければならない -- 分離は不可能である。MC5こそが、分離という問題に対する解答である。何故ならば彼らは全く一つであるからだ。MC5は全身全霊を以って革命に献身している。革命こそが人々を分離した殻から引き出し、互いの腕の中に身を投じさせる原動力なのである。

ブラザーズ・エンド・シスターズ、団結せよ。我々は一つにならなければならない。我々が自らを解決策と為す時、我々こそが問題への解答である。リロイ・ジェイムスが述べた如く、我々がそれを感じることさえできれば、「感性が知性を呼び覚ます」。我々がそれを感じることを、MC5が可能にする。それを感じることができない者は去れ。MC5は我々を狂気に駆り立て、知性を肉体に呼応させる。MC5はロックンロールそのものである。ロックンロールこそが我々の肉体の、我々の全生命の音楽であり、ロブ・タイナーが呼ぶところの、「感性を呼び覚ます道具」なのだ。我々は結束せねばならない、人々よ、「団結してひとつの塊となる」のだ。さもなければ、あるのは死のみ、そして我々は無となる。

隠すことを余儀なくされていた感性を、MC5が呼び覚ます。彼らは危険である。彼らは徹頭徹尾音楽に命を捧げている。彼らは全てを包括する。彼らは革新的原始人工頭脳に似た、今まさに起ころうとしている革命の生きたモデルなのだ。分離はあり得ない。彼らは共に労働するために住居を分かち合い、共に食べ、共にセックスし、共にトリップし、共に歩き、共にこの世界を生きていく。彼らを分離する事は不可能である。彼らの音楽を耳にすれば、彼らの音楽を生きれば、君達は全く同様に結束することとなろう。君達は必ずや彼らの音楽を聴くことになろう。何故なら我々と同じく、君達はそれを必要としているからだ。我々はそれを聴かなければならない!

音楽は我々の精神と肉体の根源であり結果である。MC5はその音楽の根源であり結果である。君達と同じように。私と同じように。MC5の音楽を聴き、それを我々の存在そのものとする、それこそが必要なのだ。我々は資本主義と生存競争の破壊的暴力によって引き離された、孤独で絶望した民であり、団結するためにMC5の音楽を必要としている。「分離は滅びである」。我々は自由の民である。我々は自由な音楽を求める。自由なハイ・エナジーの源を求める。それらは我々を野生に戻し、我々は怒号を上げ、叫び、人々を奴隷にする全ての物を破壊しながら、アメリカの町の中に飛び出していくのだ。

MC5こそがその原動力である。MC5こそが全ての形において革命そのものである。分離は不可能である。全てが全てである。恐れる事は何もない。この音楽が君達を強靱にする。この音楽は力を持つからである。そしてもはやこの音楽を制止できる物は何もない。全ての力を人民に!今、MC5を耳で聴き、目で見、そして感じるのだ!身を任せ -- ひとつになり -- 感じ取るのだ、ブラザーズ・エンド・シスターズ、今こそ証明するのだ、今君達が手にしている物こそ、音楽が有する絶対的能力と強さの生きた証明である。野獣になれ!世界は君達のものだ!この音楽を受け入れ、この音楽と一つになれ!邪魔者は蹴散らせ、マザー・ファッカー!MC5と共に決起せよ!

ホワイト・パンサー党 情報省長官 ジョン・シンクレア
1968年12月13日金曜日 ゼンタ元年