NME (Dec. 7, '91) At the occasion of Kick Out the Jams re-issue on CD |
英NME誌は1991年12月7日付誌面2面にわたり、このCD化リイシューを大きく取り上げた。1969年リリース以来、アルバム「キック・アウト・ザ・ジャムズ」が数多くのロック・ミュージシャンに与えたインフルエンスの甚大さを考えると、91年までCD化されなかったというのは驚くべき事実であり、NME誌のこの扱いもうなずける。
エドウィン・パウンシーというエディターが書いた記事で、当時ナッシュビルに住んでいたウェイン・クレイマーとの電話インタビューも行っている。「俺達は若さと、パワーと、そして精子に満ち溢れていた」と笑いながら語るウェイン。面白いのが「MC5は星条旗を焼いた」とされているエピソードについてウェインが触れた部分。ロバート・ケネディ、マーチン・ルーサー・キング、マルコム・Xらが暗殺された時期で、「無意味な暴力に対する抗議の姿勢を示さんがため」国旗を焼き、セットの最後でフィード・バックが聞こえている間に、ステージに現われた暗殺者に撃たれてロブ・タイナーが死ぬ、というシナリオを作った。しかし実際には実行に移す前にプロモーターにバレてしまい、「国旗を焼いたら今後どこにもブックしない」と言われてやむなく引き裂くだけにとどめ、しかも本番では銃の空砲も鳴らなかったため、結局何が何だかワケのわからないパフォーマンスになってしまったという。 パウンシーは「カリフォルニアの商業化されたヒッピー・シーンへのアンチ・テーゼ」として生まれたデトロイトのロック・シーンやMC5のヒストリーを紹介し、またエレクトラに契約を破棄された直接の原因となった "Fuck Hudson's!" のポスターも掲載されている。当時のウェインの写真も載っているが、他では見たことのない珍しい写真。アルバム「キック・アウト・ザ・ジャムズ」のレビューも掲載、「スター・シップ」を、ジョン・コルトレーン、ファラオ・サンダース、アーチー・シェップといったフリー・ジャズの巨匠たちが提示した新しい世界とロックを融合させた「黙示録的スペース・ジャム」と評し、MC5の真骨頂であると述べている。 |
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