ウェインはロブをベースに据えようと教え始めるが上達せず、結局この年の冬新しいベースを迎え、ドラムも入れ替えて次のラインアップとなった。
ウェイン・クレイマー(リード・ギター) / フレッド・スミス(リズム・ギター)
パット・バロウズ(ベース)/ ボブ・ガスパー(ドラム)
この時点でロブはバンドを離れるが、出て行く時にバンド名を The Bounty Hunters から、MC5と命名して去るのである。すごくカッコいいバンド名だと個人的に思っている。"MC5"は必ずしも"Motor City Five" を意図したわけではなく、ウェインが述べるところによると、もとはと言えば「クルマのパーツ」をイメージしてつけたもので、つまり「自動車部品のシリアル・ナンバー」を表わすのだという。詩人ロブ・タイナーがつけただけのことはある、デトロイトのバンドにふさわしい、いいバンド名だと思う。ついでに言うと、ウェイン・カンベスをウェイン・クレイマーと名付けたのもロブだった。ウェインは自分を捨てた父親が、万一有名になった自分を見つけ出さないように、名前を変えたかったのである。「クレイマー」は、「『クレイマー・スープ』みたいな軽い響きで」(ウェイン)彼の気に入ったのだ。
こうしてMC5はコピー・バンドとしてスタートした。ハイスクール・パーティー、ダンス・パーティーなど、演奏する機会はいくらでもあった。さらにデトロイトではナイト・クラブ・シーンが繁栄していたから、コピーを演りさえすれば仕事はいくらでもあった。15分の休憩を入れて、1セット45分のステージを1晩5回。それを週7日。
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