MC5と初めて会った時の模様を1983年にリリースされたMC5コンピレ−ション・アルバム "Babes In Arms" のライナー・ノーツ中で、ファレンは次のように記している。(原文より訳出)

"Babes In Arms" liner note excerpt courtesy of the author Mick Farren

初めてMC5に出会った時、私は身の置きどころがないような状況にいた。彼らに悪い知らせを伝える使命を帯びていたのだ。つまり、いかにして彼らに払う出演料がなくなったのか、それを説明するのが私の役目だった。1970年夏中頃のことで、彼らは「ファン・シティー」という、プリティー・シングスからウィリアム・バロウズまで、実に多彩な人々が出演する極めて風変わりなロック・フェスティバルに出演するためだけに、我々を信頼して、デトロイトから遠路はるばるイギリスまで飛んで来ていた。この直前、我々主催者は、11時間に及ぶ討議の末、このフェスティバルの入場料を無料にする決断を下していた。資本主義とコマーシャリズムに対する我々の抗議の姿勢を示さんがためであったが、それは直ちにカネが全くないという事態を意味した。他の出演者には前もって通告し、参加の意向をあらためて確認する時間があった。しかしMC5はすでに飛行機の中だったのだ。

バンドが失望したのは言うまでもない。しかし特に驚いた様子でもなかった。彼らは混乱が生み出す落とし穴に慣れていたのだ。 ....[中略].... ファン・シティー・フェスティバルのステージに上がったファイブは機材をチェックし、そしておもむろに、いささか渋々といった様子で、私がかつて見聞した中で最も破壊的なロックンロールをやってのけた。1時間に及ぶそのステージをこの時目の当たりにしたイギリス人オーディエンスは、こうして疑いもなく、ある歴史的ロック・バンドの目撃者となったのだ。 ....