この暴動のさ中、MC5も検挙される。

市内の様子を監視するために2階にある彼らの部屋には望遠鏡が設置されていたのだが、早朝メンバーが眠っていると、ショットガンで武装した十数人の警官がドアを蹴破って警察犬と共に踏み込んで来た。寝ていた彼らの顔に突然銃口を突きつけ、「窓辺から警官を狙撃しようとしていた」としてバンドを連行した。

ウェイン・クレイマーは語る。
「『あのギターが見えねぇのか?俺たちはミュージシャンだ!』って叫んだよ。ダウンタウンの拘置所に連れて行かれたんだが、心底怖かった。暴動で警官に死ぬほど殴られてブチ込まれた黒人達の目の前を通って奥に連れて行かれたんだけど、そいつらがみんな興奮して檻の中から『その白人のボーヤをここに入れてくれ、ここに!』って叫んでるんだ。こいつはヤバい、本当にヤバいことになってきたぜ、って思った。結局俺たちだけ別の檻に入れられて、翌日やっと釈放された。家へ戻ってみると、国家警備隊が近所を戦車でパトロールしてるんだ。まったく凄まじい光景だった。」