デニス・トンプソンが「俺でさえ持っていない」とインタビューで述べていたこの稀少盤、たまにオークションに出てもことごとく敗退していたが、先日イギリスのeBay で意外とあっけなく落札してしまった。
"Gold is a movie about a new American dream." というナレーションで始まるサウンド・トラックである。挿入されている映画中の会話から察するに政治的内容の作品だったようだ。写真はジャケットの裏面で、明らかにチェ・ゲバラを意識したと思われるこの壮絶にカッコいい男性が主人公だったのであろうか。音楽の内容はと言うと、サイケデリックなユルさの中にフォーク、そしてMC5の秀逸なフリー・ジャズ・トラック2曲が混在していて1枚のアルバムとして楽しめた。MC5がこの映画のために録音した曲はこの2曲の他、ウェイン・クレイマーのプロデュースでリリースされた "Babes in Arms " に収録されている"Gold" が知られているが、ボーカルが入っているのは Gold だけである。3曲全て緊張感に満ちたすばらしいフリー・ジャズ・ナンバーであり、特に "Skunk" のドラミングを彷彿とさせるデニス・トンプソンの超絶ドラムが凄い。全11曲中3曲を歌っているデイヴィッド・マクウィリアムスは、60年代に数曲の小規模なヒットを持つアイルランド出身のフォーク/ポップ・シンガー・ソングライター。
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