フューチャー・ナウ・フィルムズの掲載許可を得て、彼等のウェブサイト中の "ABOUT"の完全対訳を掲載する。
Translation of "ABOUT" in Future/Now website. Used by permission of Future/Now Films.

MC5ドキュメンタリー・フィルム
MC5 * True Testimonial について:製作スタッフより



"MC5 * True Testimonial"は、映画の1作品として上映するに十分な長さを持った、劇場公開用ドキュメンタリー・フィルムである。製作はシカゴの Future/Now Filmsによって行なわれ、すでに数年を費やして調査及び撮影が進行中である。シューティングは、資金が集まればその都度少しずつ行なうというペースで進んできた。財源の確保には常に苦慮しているが、それでもコンスタントに入ってきている。当作品のことを知った人達が、世界中から毎日、資金を提供してくれている。未公開の映像や写真がさらに加えられ、これまで誰も耳にしたことのない驚くべき音源も公開されることになる。

Future/Now Filmsは、才能に恵まれた献身的プロダクション・スタッフの集まりである。僕らはこれまでに、2つの権威ある団体、「ロイ・W・ディーン・フィルム基金」から1997年に、「イリノイ・アート・カウンシル」から1998年に、それぞれ補助金を授与された。撮影済みの主なインタビュー数本を編集して、MC5の驚異的な映像及び作品のパワフルでエネルギッシュな雰囲気をコンパクトに効果的に伝えるプロモ・ビデオも作製した。当作品に対する周囲の期待と興奮は高まっており、僕らは世界中から激励のメッセージを受け取っている。

映画の核心を成す映像の撮影はまだ必要だが、完成さえしていない当作品に対して、マスメディアは既に驚くほどの関心を示してくれた。MC5という危険な存在は、人々の興味を掻き立てるらしい。いくつかの重要なインタビューと、さまざまな実写フィルムがすでに「缶入り」して公開を待っている。これらの撮影の模様やスチール写真は、当サイトの適切な個所をクリックすれば見られる。

映画の中でMC5を語るのは、メンバー自身と友人や家族など直近の関係者である。元メンバー、マイケル・デイビス、ウェイン・クレイマー、デニス・トンプソン、そしてロブ・タイナー未亡人ベッキー・タイナー、フレッド・スミス未亡人シグリッド・ドバット・スミスといった人々が参加している。彼らのサポートがなかったら僕らはここまでがんばって来られなかったと思うし、この先続けていく事もできないだろう。

さらに元マネージャー、ジョン・シンクレア、その元夫人レニ・シンクレア、朋友トム・ライト、エミル・バシラ、ゲリー・グリムショーも出演する。ゲリーは当フィルムのアート担当でもあり、このサイトで販売されているTシャツその他グッズのデザインも彼の手によるものだ。

また、デトロイトの伝説的コンサート・ホール、「グランディ・ボールルーム」内部で、デトロイト・ロック・シーンの重要なプレイヤー、スコット・モーガンとゲリー・ラズムッセンに話を聞いた。狂気のスウェーデン・ロッカー、ヘラコプターズは、デトロイト市内にある「マジック・スティック」の外でMC5のカバーを歌う。かつて「クリーム」の編集をしていたデイブ・マーシュとジャン・ウェルツキは、テキサス州オースチンにおいてMC5を熱く語った。

取材した中にはさらに、デトロイトのアングラ誌「フィフス・エステイト」の編集に長く携わってきた、ピーター・ワーブ、デトロイトのDJ ジェリー・ルービンと故デイブ・ディクソン、かつてのホワイト・パンサー党員パン・パラマンドン、ブルー・オイスター・カルトのバック・ダーマとエリック・ブルーム、フランスのバンド、リバービレイションのローレンスとティアリーらが含まれる。リバービレイションは、シカゴの「エンプティー・ボトル」でMC5の「ランブリング・ローズ」を歌い、僕らはそれもフィルムに収めた。
チープ・トリックのリック・ニールセンとトム・ピーターソンがMC5からいかに大きな影響を受けたかを語る。モンスター・マグネットには、シカゴの「アラゴン・ボールルーム」でギグ終了直後のバックステージで話を聞いた。シアトルからは、ザ・メルビンズのバズとデイル、LAからはザ・ストリートウォーキング・チーターズが参加してくれた。

さらに、MC5ファンクラブ会長を65年から67年まで務めたランドラ・エプスタイン、69年発行の「ジャズ・エンド・ポップ」においてMC5の驚異的インタビューを敢行した作家デイビッド・ワリー、MC5を初めて聴いた大爆笑体験を記したデトロイト出身マーシャル・クレンショウ、MC5として3枚目のアルバム「ハイ・タイム」でホーンセクションのアレンジを担当したフリージャズ・プレイヤー、チャールズ・ムーア。これら関係者がMC5のアヴァン・ロックを語る様子も僕らはしっかりと撮影した。

これまでに取材を申し込んだ人達は1人残らず、この歴史的フィルムの製作に参加する事をとても喜んでくれた。インタビューに応じてくれた人々の一部を紹介すると、ローナン・オライリー、レニー・ケイ、ベン・エドモンズ、ミック・ファレン、ダニー・フィールズ、デニツ・テックなどMC5とリアルタイムで関わった人達、さらにはMC5に影響を受けたミュージシャン、つまり ジョン・ライドン、レミー、ジョイ・ラモーン、ジミー・ゼロ、イアン・スヴェノニアス、デイブ・ウィンドーフ、キッド・ロックといった人達だ。

MC5は圧倒的なハイ・エナジー・バンドであったのに、彼らに関する記録は解散から25年を経て徐々に色褪せつつある。もしこれを読む人がすでにMC5のファンであるならこういう言い方がわかると思うが、この映画を見る者は自分が目にしている光景を信じられないだろう。ボーカルの故ロブ・タイナー流に言えば、「感性が裏返る」のを経験するに違いない。僕らはこのプロジェクト発足当初から、この映画は劇場公開作品であると設定してきた。MC5の物語は大スクリーンで語られなければならない。大きく、ラウドに、実物大のMC5を映し出したいのだ!

もしこれを読む人がMC5初心者であるならば、頭の配線回路が変わろうとしている。EイコールMC5!彼等のようにロックしたバンドは、かつてない。ニューヨーク・ドールズとクラッシュを足して2で割って、プリンスとジュイムス・ブラウンと若き日のピート・タウンゼントのアクションを加え、奈落の底へ爆進する暴走機関車のイメージを重ね合わせるといい。音楽評論家デイブ・マーシュはかつて、最盛期のストーンズが通りの向かいでライブを行なっていたとしても、MC5のギグの方に行くだろう、と書いた。

60年代に何が起こったか覚えているだろうか?そう、「愛」と「平和」だけじゃなかった。多くの人間の価値観が根底からくつがえされ、そこにMC5がいた。高校の社会科じゃ67年のデトロイト暴動を教えないだろう?あるいは68年の「ミシガン・アベニュー闘争」の実写を見てみるがいい。僕らはこうした事件を作品中に組み入れた。MC5がこれらの重要なムーブメントを引き起こす引き金となったからだ。バンドが存在した時代の社会的地域的背景を知って初めて、MC5の音楽がいかに重大な役割を果たしたか理解できる。

メンバーの氏名は、レコーディング契約書より前にFBIのブラックリストに載っていた。1枚目のアルバム「キック・アウト・ザ・ジャムス」がヒットチャートに上った時点で彼等はレコード会社から叩き出され、(セックス・ピストルズより10年も前の話だ)しかしアルバム自体は続く19週間、チャートに留まった。このLPを販売したミシガン州のレコード店主は検挙され、MC5のマネージャーは、たった2本のマリファナ所持で逮捕され9年半の判決を受けた。そういう時代だったのだ! MC5はワルであり、タダならぬ奴らであり、そして言葉通りに行動した。


しかしそのツケを彼等は払わねばならなかった---だから今MC5の名を知る人は少なく、だからこそこの映画が多くの人々に驚きと共に迎えられるのである。MC5の物語は、60年代に何が起こったかの真実の物語である。アメリカが「自由の国」だと信じている人たちは、この映画を見て傷つくかもしれない。歴史の教科書には出ていないことばかりだ。それこそが、MC5が歌う「アメリカの策略」なのだ。

これは、アメリカ史における信じ難い時代を生きた、信じ難いバンドの、隠され忘れ去られた真実の物語である。僕らは、全くゼロの状態からストーリーを構築し、少しずつ事実を積み上げ、そしてクライマックスへと昇華させた。

Future/Now Films はインデペンデントな映画製作グループであり、これまで行ってきた活動のほとんどは、世界中のMC5ファンのサポートに支えられて達成されたものである。ここまでの長い道のりを僕らはがんばってやってきた、が、プロジェクト完成まで先は長い。全てのスチール、フィルムの1コマ1コマ、全てのインタビューと編集作業、かける電話の1本1本に費用がかかる。マテリアルのライセンシングにも金が必要だ。フィルムの保存、交通費、調査、このウェブサイト、全て経費が発生する。

語る価値のある、語られなければならないストーリーを公開するために、僕らは奉仕してきた。そしてその目標を実現するために、これを読む人たちからの支援を必要としている。あなたが助けてくれなければ、一体誰が?

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