Thunder Express (1993) Skydog COCB-50320
  1. Kick Out The Jams (MC5)
  2. Empty Heart (Nanker/Phelge)
  3. Ramblin' Rose (Wilkin/Burch)
  4. Thunder Express (MC5)
  5. Rama Lama Fa Fa Fa (MC5)
  6. Motor City Is Burning (Hooker)
  7. I Can Only Give You Everything (Scott/Coulter)
  8. I Just Don't Know (MC5)
  9. Looking At You (MC5)*
  10. Borderline (MC5)*

Recorded at Studio Herouville Castle, France, on March '72 for TV Show
*: Japan issue bonus tracks

バンドとして終焉を迎えようとするMC5が、ヨーロッパ・ツアーの途中でフランスのテレビ番組のためにスタジオ録音したものである。1曲目"Kick Out The Jams" はさらりと終えて、2曲目の"Empty Heart" に移る下りは絶品。この "Empty Heart" 収録は当盤のみ、4の "Thunder Express" は、ここ以外ではライノから出ている "The Big Bang!" に入っているだけである。7から10には66年と68年にリリースされたファイブ初期のシングル2枚に入っていた4曲が加えられている。ただしオリジナルのスカイドッグ盤には9と10は未収録である。左は、99年にイギリスのジャングル・レコードがリイシューした盤('99 Jungle Records FREUD CD 71)で、内容は当日本盤と同一だが、インナーにホワイト・パンサー党のいわゆる「テン・ポイント・プログラム」(党綱領)を完全掲載したり、70年にストレンジ・デイズに掲載された記事を転載したりと、MC5に対する強い思い入れがあっていいのである。

このスタジオライブ番組 "Rock En Stock" のテレビ映像を見た。サウンドはともかく、やはりメンバー全員生気がない。67〜68 年の、ファンとの連帯が最も強かった時代の野外コンサートの映像などと比較するとわかる。ウェインとデニスにいたっては何となくウツロだ。バック・ボーカルはもっぱらフレッドが1人で担当していて、フレッドの前に1本だけ立っているマイクにウェインは近付くことさえしない。これまでのどのアルバムとも異なりフレッドの声が目立つ理由がわかった。彼だけ比較的普通にシャンとして見えるのが印象的。ベースを弾いているのはスティーブ・モアハウス。

MC5としての作品はこれが最後である。バンドは、この後1年もしないうちに解散した。